【第48回】コレステロールや中性脂肪が気になる方へ!~食生活で気を付けるポイントについて~

【第48回】コレステロールや中性脂肪が気になる方へ!~食生活で気を付けるポイントについて~

1. 脂質異常症とは

血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症と言います。
この脂質には、悪玉コレステロールとも言われるLDLコレステロール、善玉コレステロールとも言われるHDLコレステロール、中性脂肪であるトリグリセライドがあります。
10時間以上の絶食後の採血検査で、それぞれの基準値が定められています。
脂質異常症の診断基準を表に示しました。
この基準に当てはまる場合でも、すぐに治療が必要というわけではありませんが、 これらはいずれも、動脈硬化の進行と関連します。

2. 脂質異常症と食事の関連

脂質異常症は生活習慣では、食事の質や、肥満、運動不足、飲酒過剰、喫煙などが原因となります。
一方、生活習慣以外では、遺伝的な物や、薬物が原因でおこるものがあります。
生活習慣によるものは改善することができるので、ぜひご検討ください。 まずは、その生活習慣のなかでも、食事の質、つまり食品の選び方について考えていきましょう。

3. 予防・改善のための食品の選び方

飽和脂肪酸を減らす

それでは、予防・改善のための食品の選び方について説明します。
まずは、飽和脂肪酸を減らしましょう。特に高LDL血症の方は意識してみてください。 肉類の脂身や鶏肉の皮、バターなど動物性の脂質には飽和脂肪酸が多く含まれています。

具体的な減らし方としては、脂身の多い肉を控え、赤身肉や脂身をとり除いた肉を選びましょう。
牛乳等の乳製品もできるだけ低脂肪のタイプを選ぶとよいでしょう。 また、ラードや牛脂など固形の油より、オリーブ油など液体の油を選ぶと良いでしょう。

コレステロールを減らす

次はコレステロールを多く含む食品を減らしましょう。これも特に高LDL血症の方は意識してみてください。
動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、コレステロールの摂取量が多くなりすぎないよう、目安が示されています。
実際の食事では、レバーやモツなどの内臓類、たらこやいくら等の魚卵は摂りすぎないようにしましょう。 また鶏卵は、1日1個程度にしましょう。

糖質を減らす

次は糖質です。摂りすぎの方は減らしましょう。
糖質は特に高トリグリセライド血症の方、意識してみてください。
また、トリグリセライドが高くなると、結果的に善玉コレステロールが下がりやすくなりますので、低HDL血症の方も、ご確認ください。
菓子類、ジュース、アルコール飲料、主食、果物などの摂り過ぎは中性脂肪であるトリグリセライドを増やす原因となります。 トリグリセライドは肝臓で余分な糖質から合成されます。これを抑えるためにも、糖質の摂取量を減らしましょう。

トランス脂肪酸を減らす

次は、トランス脂肪酸を減らしましょう。これは特に高LDL血症の方、低HDL血症の方は意識してみてください。
トランス脂肪酸は、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングといった加工油脂に含まれます。また、それらを原材料に使った菓子パン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などにも含まれています。
悪玉コレステロールを上げる、また善玉コレステロールを下げるという有害な作用をもつため、摂取量には注意が必要です。
内閣府の食品安全委員会によると、日本人のトランス脂肪酸の摂取量は健康に影響を及ぼすレベルを下回っており、通常の食生活では健康への影響は小さいと評価されています。 しかし、脂質の多い菓子、食品などを食べ過ぎるなど偏った食生活をされているとトランス脂肪酸の摂取が多くなる可能性があるので注意が必要です。

不飽和脂肪酸を増やす

減らすものが続きましたが、次からは増やすものを紹介していきます。
まず不飽和脂肪酸を増やしましょう。特に高LDL血症、高トリグリセライド血症の方は意識してみてください。
不飽和脂肪酸の中でも、多価不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあります。
いわゆるオメガ3脂肪酸と呼ばれる、n-3系多価不飽和脂肪酸は肝臓でトリグリセライドを作りにくくします。 オメガ3脂肪酸のDHAやEPAは青背の魚、いわし、さばなどの脂に多く含まれます。まずは3食のうち1食は魚を主菜にしてみましょう。

食物繊維を増やす

食物繊維を増やしましょう。特に高LDL血症の方は意識してみてください。
食物繊維はコレステロールの吸収を抑える働きや、コレステロールを体外へ排泄する働きもあります。
毎食たっぷりの野菜、海藻、きのこ、こんにゃくを食べましょう。
その他、豆類や納豆にも多く含まれています。 食物繊維は1日25g以上の摂取を薦められています。

抗酸化ビタミンを増やす

次に、抗酸化ビタミンを増やしましょう。特に高LDL血症や高トリグリセライド血症の方は意識してみてください。
悪玉コレステロールが酸化すると、動脈硬化を進行させますが、抗酸化ビタミンは、この酸化を抑えます。
おもな抗酸化ビタミンは、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンEです。
多く含まれる食品は、緑黄色野菜や果物です。

4. おすすめしたい生活習慣

おすすめしたい生活習慣ですが、食事の質のほかには肥満・運動不足・飲酒過剰・喫煙が関連します。体重の適正、運動、節酒や禁酒、禁煙などに取り組んでいきましょう。

詳しくはYouTube動画をご覧ください

【第48回】コレステロールや中性脂肪が気になる方へ!~食生活で気を付けるポイントについて~
講師:神崎中央病院 栄養管理科 古野 由香里 管理栄養士

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